ハイタッチのないマラソンなんて
初めてマラソン大会に出場して何に感激したかと言えば、沿道の人とハイタッチしながら走ることでした。
もしも「マラソン経験者が選ぶマラソン大会の楽しいことランキング」なんてのがあるとしたら、おそらく一位はハイタッチじゃないかと勝手に想像するのです。
僕が初めて出場したのは京都マラソンでした。大会当日までの数ヶ月、完走を目指して頑張ってトレーニングに励んでいたけれど、その間にハイタッチなんてことは全く想像すらしてしていなかった。
大会当日、いよいよ号砲が鳴ってスタート。すべてのことが初めてで緊張しながら走っていると、横を走るランナーさんが沿道の人とハイタッチを交しながら「頑張れー」「ありがとう!」みたいなやり取りされている。これはなんと! これがマラソン大会というものか!という驚きとともに自分もぜひしたいと思ったのです。だけど普段の生活の中で知らない人とハイタッチすることなんてまずありえません。はずかしい気持から躊躇したのですぐにはできませんでした。
それに周りのランナーのみんながみんなそんなお祭りムードなわけではなく、前を向いて黙々と走っているだけです(当たり前か)。 そういう雰囲気のなかでは声を出すことも意外と照れ臭く感じていました。
しばらく葛藤しながら走っていたけど、とにかく一度挑戦してみよう。ちょうどコース端を走っている前方のランナーさんがハイタッチをされそうです。僕も思い切って端のレーンへ移動しました。前のランナーさんがハイタッチされて、続く僕も一瞬緊張したけれど、無事にハイタッチ! ついにハイタッチデビュー! 嬉しい! 緊張感から「ありがとう」の一言が小さかったかもしれない。相手に聞こえたかはわからない。
デビューしてしまえば、あとは照れ臭ささも忘れてタイミングが合えばハイタッチするようになりました。老若男女いろんなかたがハイタッチしてくださいました。「ありがとう」を何度言ったかわかりません。マラソンにこんな楽しさがあるとは想像さえしていなかったので、その新しい世界に感激したことを覚えています。
沿道で応援してくださる方々は並んで手を差し出されていることも結構ありました。そういうところは人気のポイントなのか、ハイタッチしたいランナーさんでコースの端が混雑しているように感じました。後続のランナーに注意してコース変更しないといけないので注意が必要です。それに端っこはどっちかいうと追い越し車線でもあるようで、後方のランナーに気を使いますね。
さらにマラソン指南書のアドバイスによれば、コース端は斜めになっているから中央を走るように書かれています。記録を狙う人はハイタッチのためにわざわざ端を走るなんて当然NGなのかもしれない。
でも連続ハイタッチをすると、不思議と自然にペースがあがって元気がでますよね。あれは不思議ですねえ。息苦しくったってやっぱり「ありがとう」って言えてしまう。ハイタッチは元気の源ですよ。
とにかく初めてハイタッチを経験して以来、毎回ハイタッチを目指してがんばっています。カウントしてるわけじゃないですが。
そしてハイタッチと言えば、この方。
すごく楽しそうですねえ。